保育士の雇用事情
保育園の経営リスクを軽減し、安定させるために必要な保育園の雇用事情について解説しています。
保育士の雇用事情
現在、厚生労働省では全国的に問題となっている待機児童問題の解消を目指しています。打ち出された「待機児童解消加速化プラン」では平成29年末までに約40万人分の受け皿(保育園など)を確保するとしていますが、受け皿を確保するにはそれを支える保育士が必要不可欠です。
保育士への求人は、平成27年1月の時点で有効求人倍率が2.18倍。東京都では5.13倍となっています。そんな状況にも関わらず、平成29年末までに必要となる保育士数は、6.9万人とされているのです。保育園不足だけでなく、保育士不足も当面の大きな問題となるでしょう。
この状況への対応策として、厚生労働省では保育士資格を持つ人に積極的に働いてもらえる環境を作るべく、以下のような取り組みを実施しています。
- 民間保育所で勤務する保育士の給与を5%改善
平成27年(2015年)4月より施行された「子ども・子育て支援新制度」では、民間保育所に勤める保育士の給与が平均3%改善。さらに平成26年度の公務員給与の見直しに準拠して、+2%改善されることとなりました。合計で5%の改善です。 - 職場復帰のための研修を実施
保育士資格を所持してはいるが、ブランクがあって現場に復帰しづらいという「潜在保育士」のサポートを行っています。保育士・保育所支援センターではブランクを不安に思う方を対象に、復帰のための実技研修などを提供しています。
潜在保育士の数は全国に60万人以上いるとされているため、職場復帰が支援できれば保育士不足の解消にも繋がります。
十分な数の保育士を獲得するには
保育園を開業し、経営リスクを減らして安定した経営を続けていくためには、十分な数の保育士を雇用しなければなりません。しかし、先にも述べたように保育士の数は大幅に不足しています。
保育士資格は国家資格で合格率も低いため、簡単に取得することができません。それゆえに、資格保有者はより優遇されていくことが考えられます。保育士としても条件のよい施設で働きたいと思いますから、給与額・仕事環境・人間関係などがより良好な施設へ流れていってしまいます。
一般的な経営者の感覚で保育士を雇用しようと考えていると、保育士獲得のチャンスはどんどん遠のいてしまうのです。専門職である保育士がいなければ、保育園を開業しても経営が成立しません。
しかし、新規に保育事業に参入し、自分自身が保育園での勤務経験がないなどの場合は、うまく保育士を雇用できるかという不安が残ります。そんなとき力になってくれるのが、保育事業を専門とするコンサルやフランチャイズです。彼らは保育士を集めるノウハウやネットワークを持っているため、安定した保育士雇用が期待できます。