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保育における事故を未然に防ぐヒヤリハット

ヒヤリハットは保育での事故を防ぐ大切な気付き

ヒヤリハットは保育園での日常生活の中に潜むもの。ヒヤリハットという気付きがあることで、転んで擦り傷を作るような軽い事故から骨折などの大きな事故、死亡事故などあらゆる事故を未然に防げる可能性があります。全ての事故はヒヤリハットを放置したことによって起こるのです。

ヒヤリハットはハインリッヒの法則に基づいた言葉。アメリカの損保会社に勤めるハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏は次のような法則を提唱しました。「1件の重大な事故の背景には29件の軽い事故と300件のヒヤリハットが存在している

ヒヤリハットは「事故」ではなく、事故を未然に防ぐためのきっかけです。どんなに些細なことでもヒヤリハットの事例は保育士同士で共有しておくのが望ましいでしょう。特に気付きは経験に比例しているので、経験の浅い保育士はヒヤリハットに気付かない可能性も。事前に事例を共有することで、子どもたちを危険から守りましょう。

ヒヤリハットは身近なところに潜んでいる

保育園内

トイレ

保育園内ではトイレでヒヤリハットが起こりやすいと報告されています。トイレの床は滑りやすい素材でできているので、子どもが転倒する可能性大。転倒によって捻挫や脱臼、骨折を起こすこともあるでしょう。

子どもの年齢によっては、何でも手に取って触りたがります。保育士が眼を離したすきにトイレ用洗剤を手にとって誤飲してしまったり、誤って目にはいってしまったりすることもあります。

ベランダ・テラス

保育室が2階以上の高いところにある場合、ベランダやテラスが設置されています。ほとんどの場合、ベランダやテラスに出るための扉には鍵が掛けられているでしょう。

しかし、何かの拍子で施錠が外れていた、子どもが自ら鍵を開けてしまった場合、柵の部分で頭を打ち付ける・柵の隙間からの転落事故が起きてしまうなどのリスクがあります。

庭園

保育園の庭園には多くの危険が潜んでいます。遊具や木など高い位置から落下する可能性があるからです。走り回る子ども同士が衝突してケガをする恐れや、ブランコや滑り台で遊ぶ子どもと別の子どもが衝突することもあるでしょう。

庭園内には死角の多い場所も存在しています。例えば遊具の裏や木の裏、建物の裏など。保育士が注意深く見ていても、子どもはいつの間にか死角に入り込んでしまいます。一瞬目を離した間に危ないことをしているというのは日常的に起こりうるでしょう。

食事・おやつ

食事やおやつの時間にもヒヤリハットは潜んでいます。まだ小さい子どもには自分で噛んで食べる能力が備わっていないため、食べ物で喉を詰まらせる可能性があるからです。一口サイズのものでも噛まずに飲み込むことで、喉を詰まらせることがあります。食事やおやつの時間には、子どもが食べ終わるまで保育士がそばについている必要があります。

また、食物アレルギーにも注意しなければなりません。小麦やエビなどの食物アレルギーを持つ子どもが誤って食べてしまうと、アナフィラキシーショックが起こります。事故が起きないように、該当する食品を含む食器とアレルギーに配慮した食器の色を変えるなどの対策が必要です。

お散歩コース

行き帰り

保育園を出て公道を歩くお散歩には危険が多く潜んでいます。子どもは興味を持つと急に走り出してしまうので、車や自転車に注意しなければなりません。犬や猫などの動物に子どもがいきなり近づいたことでケガをする可能性もあります。

お散歩のコースはできるだけ交通量の少ないコースにするのが理想です。また、交通量の少ない時間帯にお散歩に出かけるようにしましょう。

公園

公園にも保育園と同様にたくさんの遊具が設置されています。公園を管理する市は定期的な遊具の点検を行っているものの、金属の劣化した部分で子どもがケガをした、遊具に手や首が挟まれて抜けなくなってしまったなどの事故が起こる可能性は0ではありません。この他にも鉄棒や滑り台、ジャングルジムなどの高い場所から落下してしまうこともあります。

また、公園の出入り口にも注意を払う必要があります。子どもが飛び出したところに、車が来ていたということが起こりかねないからです。

不審者

お散歩の最中に不審者に遭遇する可能性もあります。子どもに声をかける、連れ去ろうとする、子どもに無理やり触れようとするなど、見知らぬ大人が子どもに危害を加えようとする事例があります。

お散歩での不審者対策を普段から用意しておくことで、子どもを危険から守れるでしょう。

保育年齢別ヒヤリハット

0〜1歳児

0〜1歳児は自分で動き回ることはあまりありませんが、おむつを交換する際にベッドから転落してしまう可能性があります。保育士が目を離した一瞬に寝返りをうち、床に落下してしまう事故は、実際に起きているのです。

つかまり立ちを始める年齢の子どもは、自分の足で上手に体重が支えられず転倒してしまうことがあります。0〜1歳児は手に取った物を何でも口に入れてしまうので、オモチャを誤飲する可能性もあるでしょう。

2歳児

2歳児ではトイレトレーニングが始まります。滑りやすいトイレの床で転倒したり、手洗い石鹸やトイレ用洗剤を誤飲する可能性があります。0〜1歳児と同様に何でも口に入れて確認する性質があるので、誤飲による窒息にも注意しなければなりません。

3歳児以上

3歳児以上の子どもは動きが活発になるので、友だちとふざけたり、走りまわったりしているうちに、ぶつかってケガをする恐れがあります。ハサミなどの道具を使ってケガをしたり、遊具から転落したりしやすいのもこの年齢の子どもたちです。子どもは驚くと手を離してしまうので、危ないと感じても叫ばずに、遊具から降りるように諭すのが良いでしょう。

ヒヤリハットを活かして事故を防ぐために

危険予測の判断基準を見直す

ヒヤリハットは危険予測ができているからこそ起こります。危険予測といっても大人から見た危険と子ども目線の危険は異なるものです。子どもの安全を守るためには危険予測の判断基準を見直すことが大切。

子どもの目線に立って、滑りやすそうな場所、転倒しそうな場所、落ちたら危ない場所などをリストアップしておきましょう。

ヒヤリハットを保育士同士で報告し合う

ヒヤリハットに気付いたら、保育士同士で報告を行ってください。ヒヤリハットは事故を未然に防ぐための危険予測の結果です。報告して責任を問われるようなことではありません。

特にベテラン保育士が簡単に気付くことでも、新米保育士には分からないことが多くあります。臨時職員や保育実習生にも危険性を共有することで、リスクを回避できるでしょう。

過去のヒヤリハット事例をチェック

園内で起こった過去のヒヤリハット事例は記録していつでも確認できるようにしてください。他の園で起きたことは関係がないと思わずに、事例をストックしておくことも大切です。多くの事例を知っていることで、トラブルが起こりそうな際の対策が立てられます。自分の園でも起こる可能性は0ではないという認識が必要です。

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