認可保育園の経営
国が求める基準を満たした認可保育園の特徴と設置基準などの情報、経営にあたっての注意点を解説しています。
認可保育園とは
認可保育園とは、国の定める基準をクリアした児童福祉施設のこと。施設の規模・職員数・調理施設などの各種設備・防災管理・衛生管理などの条件を満たしており、各都道府県知事の認可を得て経営しています。
入園するには、保護者が日中に仕事や通院などで子供に十分な保育ができない状態であることが条件。ただし、園児数に余裕がある場合はこの限りではないようです。
経営元には公立と私立がありますが、どちらも公費によって運営されているため保育料が比較的安価(家庭の収入によって保育料は変化)。申し込みは市区町村などの各自治体に対して行い、認められれば入園となります。
対象となるのは、0歳~小学校就学前の子どもです。
認可保育園の認可基準
認可保育園の認可基準は以下の通りです。
入所対象 | 乳児(1歳未満)~幼児(未就学児) ※ただし3歳未満児2割以上、2歳未満児1割以上とする |
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設置・位置 | 原則として2キロメートル以内に保育所がないこと |
定員 | 60名以上 |
開所時間 | 1日につき11時間、保育時間は1日8時間が原則 |
建物・設備 基準面積 |
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職員 |
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費用 | 子どもの年齢・家庭の収入によって変化 |
認可基準がクリアしやすい
小規模認可保育園の経営についてチェック>>
認可保育園を経営するための注意点
認可保育園は公的な助成金が多いのですが、国で定められた基準よりも厳しい基準が各都道府県で設けられていたり、運営の方法が細かく規定されていることがあります。認可外などに比べると自由度はかなり低くなりますが、安定した運営が期待できます。
また、認可保育園の施設長には誰でもなれるワケではありません。以下のような条件を満たした人物である必要があります。
- 年齢は原則として30~65歳未満であること
- 健全な心身を有した人物で児童福祉事業に対する熱意があり、施設を適切に運営できる者
さらに、以下のいずれかの条件を満たしていることが必要です。
- 児童福祉事業に2年以上従事した経験がある
- 保育士の資格を持ち、実務経験が1年以上ある
- 社会福祉士もしくは社会福祉主事の資格を持っている。または社会福祉事業に2年以上従事した者(国または保育関連団体が実施する保育所長研修を受講・修了が条件)
- 前各号に準ずる者で、都道府県知事が適当であると認定した者(国または保育関連団体が実施する保育所長研修を受講・修了が条件)
一般的には認可外保育園の経営から始め、認可保育園にふさわしいとされる条件と実績を積んでいくことが大切と言えます。
いち早く認可保育園を経営したいのであれば、実績のあるコンサル会社に依頼をしたり、実績あるフランチャイズに加盟することで、「○○社さんがしっかり面倒を見てくれるのなら」といった形で認可が下りることもあるようですよ。
認可保育園のメリット・デメリット
保育園を開設するにあたって、国の厳しい認可基準を満たした保育園を一般的に「認可保育園」と言います。自治体によっては国の認可基準に加えて独自の基準を盛り込むところもあり、開設のハードルが認可外保育園と比べて高そうにも思える認可保育園。
保育園経営という観点からメリット・デメリットを考えてみましょう。
認可保育園のメリット
厳しい基準をクリアして開設させる認可保育園は、利用者である保護者からも「認可保育園である」という安心や信頼を得られます。また、経営の面で最も大きいのが、国や自治体から運営にかかる補助金を受け取れるということでしょう。
例えば東京都の場合、認可保育園への補助金は0歳児児童であれば1人あたり21万円の補助金が支払われます(東京都、職員の平均勤続年数10年以上の認可保育園の場合)。また、東京都では待機児童の解消のために保育園開設5年目以内の認可保育所に対しては、土地や建物の賃借料を最大4,500万円も負担してくれるなど様々な優遇政策が整備されています。
保育園経営を考えるにあたって、認可保育園だからこそ受けられる補助金額は命綱。月に700万円近くもの補助金が提供してもらえることは、経営面でも大きなメリット。認可外でも自治体によっては補助金を出す地域もありますが、それでも認可保育園であるからこそ受けられる補助金額は大きな金額です。
認可保育園のデメリット
認可保育園の大きなデメリットとしてまず挙げられるのが「開設ハードルの高さ」です。所有する土地を保育園に活用しようと思っても、2km圏内に保育所があれば開設できませんし、定員数も60名以上と多く、建物や設備基準が厳格に定められているため、開設にあたっての初期投資額が大きくなります。
また、ゼロから認可保育園を開設しようと思っても、認可保育園の施設長になるためには実務経験や資格などが求められます。単純に「土地があるから保育園でもやるか…」と言った程度の気持ちでは認可保育園を開設することは現実的に長い道のりとなるでしょう。
もう一つ、経営面で認可保育園のデメリットとして開設する前に覚えておきたいのが、万が一経営不振になった場合のことです。
認可保育園は、公的な保育園となりますので、経営不振だからといって簡単に保育園事業から撤退することができません。さらに、保育料を自由に設定することができませんので、経営も公的な助成金がなければなかなか成り立たせることが難しいでしょう。
認可保育園には運営母体によって「公立」「私立(社会福祉法人による運営)」「私立(企業による運営)」に大きく分けられます。私立の保育園の場合、行政からもらえる補助金額は公立の認可保育園より少なくなります。補助金額が少ないということは、それだけ保育園経営の運営費に影響します。運営費が円滑になければ、真っ先に削減を図るのが、経費のうちで大きな割合を占めている人件費にならざるを得ません。
人件費の削減は、昨今問題になっている保育士の低賃金の問題でご存知の方も多いかもしれませんが、保育士の定着率を低下させるリスクがあります。人員確保ができなければ良質な保育の質を確保できなくなるだけでなく、認可保育園としての基準を満たせなくなってしまう可能性も大いにあります。
障害児保育や病児保育など社会的ニーズの高いサービスを認可保育園で提供したくても、採算性の悪さから泣く泣く諦めざるを得ないというケースもあるのです。
このように、メリットが大きい認可保育園も、経営という点ではデメリットやリスクがある程度存在します。保育園経営を考える際には、メリットだけでなくデメリットもしっかりと認識し、バランスのとれた経営ができる方法を探っていきましょう。
フランチャイズという選択肢
認可保育園を経営する際には、個人での運営だけでなく、フランチャイズという選択肢があります。
フランチャイズに加盟するとロイヤリティの支払いがあると敬遠する人もいます。
しかし、不足していてニーズがある保育園でも0からの立ち上げはとても困難。運営がスタートしてからも普通の会社とは異なり利益だけを追求できないのが保育園です。
運営もしつつ保育事業にも目を向けなくてはならないため、個人の負担が多く、多くの困難に突き当たることもしばしばあります。
その点、フランチャイズへ加盟すれば、立地から保育士の育成、運営のノウハウなど保育園運営に関する事細かなサポートが万全です。
ロイヤリティによる利益配分があったとしてもそれ以上の価値のあるサポートで個人での初期投資よりも安心。例え資格がなくてもできるとはいえ認可保育園を運営したいと思ったら、実はフランチャイズに加盟するのがおすすめなのです。
ここでは認可保育園を運営するにあたってフランチャイズ加盟がおすすめの理由についてご紹介します。認可保育園運営にご興味のある方に参考にしていただければと思います。
場所の確保がしやすい
フランチャイズに加盟すると認可保育園を開園しやすい場所探しのサポートがあります。
保育園の開園には「子供の声がうるさい」「送迎時に交通渋滞する」などの様々な理由でご近所から敬遠されやすい傾向にあります。そのため中々場所を決められないケースも多々ありますがその心配がありません。
個人で抱える負担が軽減できる
フランチャイズに加盟すると開園前や開園後の保育事業以外のサポートがあります。開園準備から開園後において園児募集や見学会、保育士の管理や売り上げについてなどやらなくてはならないことがたくさん。
フランチャイズなら運営に関するノウハウでしっかり対応してもらえます。個人の負担が軽減されるので慣れない保育事業に専念しやすくなります。
資金に関するアドバイスが受けられる
フランチャイズでは開業資金の支援を受けられるところは少ないものの助成金などのアドバイスは受けられます。資金繰りに困った時もアドバイスで乗り切れることも。
安定した運営のための支援がある
フランチャイズに加盟するとしっかり収益が出せる運営ができるようにサポートしてもらえます。フランチャイズの場合、様々なケースに対応してきている実績があるため、的確なアドバイスを速やかに受けられます。
開業までの流れ
フランチャイズで認可保育園開業をするまでの流れについてご紹介します。
- 加盟店選択・相談
- 加盟店正式契約
- 物件探し・契約
- 保育園開園準備
- 園長・保育士の面接・研修
- 園児募集・見学会
- 開園
自分の希望するフランチャイズを選び、システムや経営姿勢、園の規模などを相談。
ヒアリング後、自分のイメージするフランチャイズであれば正式に契約。
希望するキャパや環境に合わせた物件探しへ。物件が決まったら契約。
物件探しでは各種交渉や書類作成など手続きのサポートが受けられます。
保育園の名前や開園日を決定。
園内のレイアウトを相談し、開園のチラシ等宣伝準備。
研修加盟店の指導のもと園長の研修、保育士の面接。
いよいよ開園。開園後もスムーズな運営ができるように加盟店による全面サポートがあります。
コンサルタントを利用しよう
認可保育園の運営をしたい!と思ったら、専門的なアドバイスを受けられるコンサルタントの利用がおすすめです。
待機児童の問題が騒がれている中、認可保育園の不足は明らかですが、実際に開業するとなるとわからないことがたくさんあります。どんなに資金があっても、どんなに素晴らしい施設を確保したとしてもノウハウがないと運営はうまくいきません。
そこで保育事業の実績と経験を持ったコンサルタントを利用すれば、様々な側面から見た万全のサポートが受けられます。
コンサルタント選びのポイント
コンサルタントを利用する際にはもちろん良いコンサルタントを選ばなくは意味がありません。下記の5つのポイントに気をつけてコンサルタントを選びましょう。ネットで保育園経営の実績が豊富なコンサルタントを検索してみるのも一つの方法です。
- 経験豊富で実績がある
- 専門的知識やアドバイスが理論的である
- 丁寧にしっかり話を聞いてくれる
- わかりやすい説明を丁寧にしてくれる
- 担当者と相性が良いこと
コンサルタント利用の場合の流れ
自分の保育園運営のイメージにあったコンサルタントを見つけたら、具体的に打ち合わせをして費用を確認して契約をします。コンサルタントの方から事業計画書と基本運営計画書が作成され、運営のプランが具体的になります。
その後、開園予定地の調査から始まり、保育所の施工、保育士の採用・研修、園児募集など開園準備をし、いざ保育園開園へとなります。