補助金
認可保育園の経営に支給される、公的な補助金の目安について解説しています。
認可保育園の補助金事情
認可保育園とは、児童福祉法に基づいて設置された児童福祉施設。公的な施設で国や自治体などから補助金が給付されており、それと保育料を合わせて施設の経営を行っています。
認可保育園には公立(市区町村が経営)と私立(個人や社会福祉法人などが運営)があり、どちらにも補助金が出ています。公立の認可保育園は、運営費のほとんどが補助金。保育園を管轄する各自治体は保護者から徴収した保育料に、年齢別に決められた額の補助金をプラスして各保育園に支給しています。
私立の認可保育園も公立と同様に補助金で運営していますが、経営元である企業によって補助金の額が異なります。これは東京都のケースですが、私立認可保育園への補助金は一般企業が運営する園よりも、社会福祉法人が運営する園の方が高額になっているのです。
認可保育園が受けられる補助金の目安
認可保育園の補助金は、保育している児童数によって額が決まります。公立の認可保育園では、年度初め(4月)時点の児童数で翌月の補助金額が決定するようになっています。
また、保育している児童の年齢によっても補助金の単価が異なります。その他にも施設の定員数や、職員の平均勤続年数によっても単価が変化。職員の平均勤続年数については、長く勤めている方の昇給に対応できるよう配慮した制度です。
ではここで、東京都の認可保育園で職員の平均勤続年数が10年以上の施設を例に、国から支給されるおおよその補助金額をご紹介します。記載しているのは、児童1人あたりの保育単価。
この中には、人件費・事務費・教材費・給食費などが細かく設定されています。年齢が低いほど保育単価は高く、年齢が上がるほど単価が低くなるのが特徴です。
児童1人当たりの保育単価 | |
---|---|
0歳児 | 210,000円 |
1歳児 | 135,000円 |
2歳児 | 135,000円 |
3歳児 | 78,000円 |
4歳児 | 69,000円 |
5歳児 | 69,000円 |
このほか、認可保育園には自治体からの補助金もあるため、1人あたま2~3万円の上乗せが期待できます。60名の認可保育園で各年齢の園児が10名ずつだとすると、毎月のおおまかな補助金の合計は以下の通り。
各年齢児童10人の認可保育園の補助金合計 | |
---|---|
0歳児 | 2,100,000円 |
1歳児 | 1,350,000円 |
2歳児 | 1,350,000円 |
3歳児 | 780,000円 |
4歳児 | 690,000円 |
5歳児 | 690,000円 |
合計 | 6,960,000円 |
月におよそ700万円の補助金が支給されることになります。自治体によって金額は多少異なりますが、しっかりとした経営プランのもとで誠実な運営を行っていれば、よっぽどのことがない限り経営難に陥ることはないでしょう。
自治体に選ばれるためのノウハウが必要
保育園が認可を得るには大小の規模を問わず、国が定める「児童福祉施設最低基準」を満たす必要があります。非常に難しい手続きのひとつともいわれています。
市町村によって独自の認可基準が定められている場合があり、また施設の設置にあたっては地元市町村の同意も必要となります。保育園経営に初めて乗り出す人にとって保育園の認可取得は難しいプロセス。となると、自治体とのやり取りはコンサル会社やFCなど、実績のあるところに相談するのがベストです。
とくに「小規模保育園」は2015年に施行されたばかりの新しい事業です。対応しているFC会社は少ないので、「小規模保育園」に詳しい会社に相談することを何よりおすすめします。
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認可保育園が受けられる補助金の具体例
認可保育園の開設にあたり、各自治体で補助金を支出しています。
その金額については各都道府県自治体によって異なりますので、詳細については保育園を開設したい地域の自治体に確認する必要があります。
千葉県浦安市の場合
例えば千葉県浦安市の場合の補助金の詳細について以下見ていきたいと思います。
補助金支出要件について
例えば千葉県浦安市の場合、賃貸物件を活用して認可保育園を開設する運営者に対して、補助金の支出を行っています。
(児童福祉法第35条第4項に基づく認可を受けて開設する保育所が対象)
保育園の規模は、約60名以上を収容できる程度。
整備対象地域も決められていて、当代島1〜3丁目、猫実3〜5丁目、北栄1〜4丁目、堀江2〜5丁目、富士見1〜5丁目で開設予定の認可保育園に限られます。
ただし、ほかの地域で開設したいと考えている人の相談にも乗ってくれるようです。
補助金の項目と金額について
- 整備費に関する補助金
補助金は、主に開設にあたっての整備費用と、開設後の運営費用に対して支給されます。
整備費については、国が行っている保育対策総合支援事業費補助金の「保育所等改修費等支援事業」に基づいて支給されます。
基準額を3,200万円とし、国や市が補助してくれるほか、市が独自で換算した金額(900万円)など、さまざまなところが支出します。
この保育対策総合支援事業費補助金とは別に、浦安市の私立保育所等施設整備費補助金制度として、定員数に280万円を掛けた金額も支給されます。
これは、千葉県が8分の1補助をしています。
例えば、整備費として総工事費が5,000万円かかり、対象経費が4,800万円、保育園の定員すうが60名だと仮定した場合、対象経費と基準額である3,200万円に市が換算した900万円を足した4,100万円を比較し、金額が小さい4,100万円が採用され、そこから国の補助率3分の2と、市の補助率12分の1を足した、3,075万円が実際の支給額です。
これとは別に、県の支給分として、対象経費と基準額の60(定員数)と280万円を掛けた1億6,800万円のうち、金額の小さい4,800万円を採用し、県の補助率8分の1を掛けた600万円が支給されます。
保育園開設における費用が全額支給されるわけではありませんが、この事例を見るとかなりの金額が補助金でまかなえることがわかります。
ただし、これは浦安市の場合で、自治体によって補助金額の算出方法は異なりますので、必ずしも地元で開設したいなどというわけでない場合はどこで開設するかということも保育園開設においての重要な要素となりそうですね。
- 運営費に関する補助金
運営費に関する補助金は、「子ども・子育て支援法附則第6 条第1項」と、浦安市の私立保育所等補助金等運営費等補助金の交付要綱に基づいて加算した補助金が支給されます。
交付要綱は、「保育士等処遇改善費補助事業」や、「私立保育所等運営費補助事業」など、さまざまな項目があります。
かなりの項目があり、それぞれの補助金額についてはデータがなかったため、詳細については自治体に確認してください。
補助金の申請について
浦安市の場合は、事前に申請について電話予約を行った上で、「運営法人に係る概要調書」、「認可保育所設置計画概要書」、「認可保育所運営計画概要書」、「資金計算書」を持参の上、市役所に行って手続きを行います。
補助金額の仕組みや手続きについては分かりにくい点が多いですが、電話で問い合わせると細かく説明してもらえるようです。
ほかの自治体においても、問い合わせ窓口を設けていると思われます。
特に、自治体によってはこうした具体的な支給額についてホームページなどで開設しているところは少なく、まずは問い合わせを受けてから説明するという自治体が多いようですので、補助金について知りたい方は連絡してみましょう。