チャイルドマインダー
イギリス発祥のチャイルドマインダーは、少人数保育を専門とした知識や技能、資格を保有した人を指します。国内でもチャイルドマインダーとして起業することは可能です。低コストな自宅開業なども検討できます。
ここでは、チャイルドマインダーで起業するにあたって、必要なことや注意点を解説します。
チャイルドマインダーで起業するには
チャイルドマインダーとして起業するには、まず民間資格「チャイルドマインダー」を取得する必要があります。チャイルドマインダーの資格は、3種類に分かれており、いずれか1つに受験および合格すればチャイルドマインダーとして名乗ることが可能です。
- ヒューマンアカデミー:通学方式で受講し試験を受ける、就業や転職サポートも受けられる
- NCMA,Japan:イギリス政府と厚生労働省認可の資格、資格取得後には就業サポートも受けられる
- チャイルドマインダージャパン:3種類の中で資格取得費用が安い、就業サポートなし
開業に伴う条件は、特にありません。ただし、開業する際は、保育環境を整えた上で開業届と居宅訪問型保育事業の届出を提出する必要があります。
特に居宅訪問型保育事業の届出は、2015年より保育人数1人以上で義務化されたため、少人数保育のチャイルドマインダーも対象です。開業後は定期的に研修を受講し、保育従事者としての質向上に努めなければいけません。
チャイルドマインダーで起業するために必要な知識・技能
チャイルドマインダーは、子供を預かり、成長につながる保育を行う必要があります。起業する場合には、資金繰りや環境整備など、保育以外の知識も身に付けておくことが大切。
資格については、民間資格を取得しておくのがおすすめです。
民間資格の取得
チャイルドマインダーの民間資格なしでも起業自体は可能ですが、無資格者によるサービス提供で信頼を得ることは極めて難しいのが現状です。また、チャイルドマインダーとしての知識が不足していると、子供の安全を確保しながらの保育ができない可能性もあります。
このようなさまざまなリスク、トラブルが想定できるので、チャイルドマインダーの資格取得は企業前に済ませておくのがベターです。
チャイルドマインダーには、子供の安全確保やチャイルドマインダーとしての心構え、発育に重要な食事と栄養、衛生管理、小児救急救護法などさまざま知識と技能が求められます。
チャイルドマインダーを目指している方は、「ヒューマンアカデミー」「NCMA,Japan」「チャイルドマインダージャパン」の認定講座のいずれかを受講したり関連テキストを購入したりしながら学習を進めてみましょう。
保育に関する専門的な知識や経験を積む
チャイルドマインダーに必要な知識の多くは、保育士をはじめとする保育関係の知識と共通しています。
さらに保育の際は、実際に子供たちの安全を確保したり適切なコミュニケーションをとったりなど、経験を積まなければ対応の難しい場面も出てきます。保育関連の業務経験がない時は、保育士資格の求められない無認可保育園や託児所、乳児院で働くのも大切です。
チャイルドマインダーとしての実務経験は、起業時のスキル面における大きなメリットです。なお、施設で勤務する場合は、パートもしくは契約社員として働きます。
事業計画を定めておく
チャイルドマインダーの起業は、施設へ勤務する場合と異なり売上や費用など経営面に関する知識も必要です。他の業種と比較して初期費用を抑えやすい事業ですが、売上を伸ばさなければ経営を維持できません。
- 集客や宣伝
- 自身にしかに強みや他社との差別化
- サービス品質の強化
- 固定費の削減
これらを意識しつつ、リピーターの獲得や収支バランスの改善といった点にも力を入れていきます。
チャイルドマインダーの起業を検討している方は、チャイルドマインダーのスキルだけでなく事業計画に関する学習を進めながら、どのように黒字化を目指すか慎重に考えていきましょう。
チャイルドマインダーの開業資金
チャイルドマインダーの開業資金は、自宅開業と施設、訪問型のうちどれを選ぶかによって変わります。
続いては、チャイルドマインダーの開業資金について確認していきましょう。
自宅開業の場合
自宅開業の場合は、事務機器類や保育関連費用以外の負担は基本的にありません。事務機器類とは、会計ソフトや会計ソフトを動かすためのパソコン、プリンター、通信設備、備品を指します。事業用の固定電話やスマホを契約したい場合は、別途通信費などもかかります。
保育関連費用は、離乳食や飲料水、衛生用品、布団類、救護道具や医薬品といったものにかかるもの。
食品や衛生用品は定期的に購入するため、まず事務機器類や保育環境を整えるための安全用品(チャイルドロックなど)の購入費を計算してみましょう。状況によっては、数1,000円~数万円程度で済む可能性もあります。
※参照元:保育士くらぶ(https://www.hoikujyouhou.com/hoiku_club/599)
施設を借りる場合
自宅で開業するのは難しい・苦手という場合は、複数の保育士やチャイルドマインダーと協力して施設を借りるのが得策。
施設を借りる場合は、家賃や保証料などの費用がかかります。開業資金は、1年間売上の少ない状態でも家賃を負担できる貯蓄を蓄えておくのが大切です。また、他のチャイルドマインダーなどと相談しながら、保育関連の用具や食品、衛生用品などの予算を確認しておきましょう。
訪問型で開業する場合
依頼主の自宅へ訪問する訪問型は、最低限の衛生用品や医薬品、ティッシュなどといった用品とバッグ、事務や会計処理ソフトの購入費用で済みます。
保育に必要な食品や食器、飲料水などは、各家庭に用意されているので開業資金を抑えられます。
ただし、各家庭へ訪問するための交通費がかかるので要注意です。
チャイルドマインダーの運営方式
続いて、チャイルドマインダーの運営方式と運営方法について分かりやすく解説します。
自宅で保育サービスを展開
自宅開業を目指す場合は、まず自宅を保育に適した環境へ整備していきます。たとえば、子供が怪我しないよう窓の棚の引き出しや扉に鍵を取り付けたり、角にクッションを取り付けたりなどといった対策を施します。他には、窓の高さ確認や家具の転倒防止対策といった点も行います。
安全確保以外には、子供たちが楽しく過ごせるようキャラクターのステッカーを室内に貼ったり玩具などを用意したりするのも大切です。
保育環境を整えたあとは、保育料などのサービスの設計と保険加入手続きを進めます。
保育料は、1時間につき1,000円~1,500円が一般的。
保険加入は、万が一の事故で賠償責任を負ってしまった場合に備えて、賠償事故補償(物に対する補償)と障害事故補償(人に対する補償)を検討するのが重要です。
参照元:チャイルドマインダーになるために(https://hoiku-license.com/open)
複数の保育士やチャイルドマインダーで施設を借りる
自宅開業や訪問が難しい場合は、施設を借りる方法も選択できます。
施設を借りる際は、基本的に複数の保育士やチャイルドマインダーで運営します。施設の維持管理や賃料の負担を抑えられるためです。
保育料は、自宅開業と異なり月額制の傾向があります。月5万円前後で設定されるのが一般的です。ただし、自治体から保育料の上限が定められるケースもあるため要注意。
保険に関しては、スタッフの事故リスクなどにも備えるのが大切です。そこで、就労上の事故補償といった補償も検討してみましょう。
各家庭と個人契約を結ぶ訪問保育
訪問保育は、文字通り各家庭へ訪問し、訪問先で保育を行うサービスです。
自宅を事業所として運用するのが難しい方などにも、メリットがあります。
他の運用方式と異なり、保育環境を簡略化できるのが強みです。保育料は、自宅開業と大きく変わりません。1時間につき1,000円台が相場となっています。
保険に関しては、賠償事故補償と障害事故補償だけでなく、訪問先の物品を誤って破損させてしまった場合のリスクに備えて施設賠償責任保険の検討も重要です。
※参照元:チャイルドマインダーになるために(https://hoiku-license.com/open)
※参照元:保育士くらぶ(https://www.hoikujyouhou.com/hoiku_club/599)
チャイルドマインダーの起業で成功するには
チャイルドマインダーの起業で成功するには、まず集客力の強化に努めるのが大切です。起業直後の段階では、誰もサービスを認知していませんので、宣伝活動を積極的に行いましょう。
新規ユーザーを獲得できたあとは、サービスに満足してもらえる1回ごとの保育に力を入れるのはもちろん、他社との差別化を図るために独自のサービスや個性を打ち出していくのも重要。
他には、固定費と収入のバランスを維持するのが重要なポイントです。
NCMA,Japanをはじめとするチャイルドマインダーの認定講座では、資格取得後に経営に関するサポートやセミナーも実施しています。このようなサポートセンターで、事前に経営方法や資金繰りについて学ぶのも大切です。