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保育園経営は土地活用として有効な手段?

土地活用と言えば、主流なのはアパート・マンション経営でしょう。しかし人口減少や住宅の供給過剰により、好立地な物件以外は儲けることが難しい昨今では、土地活用の選択肢として「保育園経営」も注目を集めています。

待機児童問題がマスメディアで騒がれているのを見ても分かるように、子育て世帯の多い都市部を中心に、保育園の需要は急増。アパマン経営に比べて空室のリスクは低く、認可保育園であれば国から補助金も支給されます。

ここでは、土地活用としての保育園経営についてまとめました。

保育園経営は資格なしではじめられる

保育園経営もアパマン経営と同じように、土地オーナーが直接、運営するわけではありません。独自の運営ノウハウをもった保育園運営会社が全国にあり、オーナーは運営会社に行政とのやり取りや施設の管理運営などを委託できます。このため、オーナーは保育事業に必要な資格を取る必要はありません。

もちろん自ら保育園経営に乗り出すことも可能ですが、事業許可や運営・保育士集めなどの専門ノウハウが必要です。参入のハードルは高いと言えるでしょう。

保育園の建設方法

自分で所有する土地を使って保育園に投資をする場合、大きく分けて2つの方式があります。

リースバック

リースバックとは、オーナーが土地に建物を建て、土地・建物ごと保育園運営会社に貸し出す方式です。

事業用定期借地

事業用定期借地は、土地だけ貸し出すもので、運営会社から賃料を得ます。

土地活用としての保育園経営のメリット

認可保育園は補助金を受けられる

保育園には認可保育園のほかに認可外保育園(個人経営・フランチャイズ)、それに東京都独自の制度として認証保育園があります。

このうち認証保育園は、運営や園児集めに関して補助や支援はありますが、土地や建物にはありません。また、認可外保育園は土地、建物、運営面全てにおいて行政からの補助はゼロです。土地活用という観点から見た場合、オーナーが最もメリットを享受できるのは認可保育園なのです。

初期費用については、国が一部を負担。建物の建設費で2/3、整備費(内装工事や設備費など)は3/4を国が賄ってくれ、備品費は園児の定員数に応じて最大300万円が補助されます。

初期費用を低く抑えられると、ランニングコストを計算に入れても投資の利回りは高くなります。土地活用の専門家によると、アパマン経営の利回りが7~10%なのに対し認可保育園は利回り20~40%という試算もあるほどです。

保育園経営は税金対策でも優等生

保育園運営会社に土地や建物を賃貸しても、オーナーには固定資産税、また物件が都市計画区域内にある場合は地方税法によって都市計画税がかかります。しかし待機児童問題などを背景に、2017年に固定資産税と都市計画税が最長5年免除される制度がスタートしました。

東京23区や大阪市、西宮市、大宮市、神戸市などの都市部は最長5年全額免除され、その他の地区町村でも一定期間の免除や一部助成が行われています。免除の内容は自治体のよって異なるため、各自治体の公式サイトでチェックするか窓口で確認してください。

相続税対策でも見逃せないメリット

相続税に関して認可保育園の場合は、建物で30%、土地(建物付き)では10~20%も評価が下がります(地域の借地権割合によって変動)。また、土地は一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例により、評価を50%に下げることも可能です。

ただし不動産評価の特例は、入居率100%であることが条件に。低ければ評価減の幅も小さくなるため、相続税は一般の不動産と変わりません。

保育園経営のデメリットは?

厳しい条件クリアが前提となるので参入のハードルが高い

認可保育園の開園・運営には国や自治体が絡んでくるため、さまざまな条件をクリアしなければなりません

全国の自治体では、公式サイトで土地所有者を対象に認可保育園の公募を行っていますが、条件は自治体によって多少の違いはあるものの、敷地は100坪以上、園舎の延べ床面積が130坪以上であること。より多くの園児を受け入れるためにはある程度のスペースが必要なため、認可保育園の設置基準では定員が60人以上となっています。

また園児にとって望ましい環境整備も不可欠で、部屋の面積は乳児室で0歳児・1歳児1人当たり3・3平方m2以上、保育室で2歳児以上1人当たり1・98m2以上などとなっています。また、火災や自然災害に備えて非常口を2カ所以上設置する必要があります。

仮に条件にかなう物件を保有していたとしても、認可までの審査期間が長いのもデメリットです。審査は保育園運営会社に委託しますが、オーナーが役所に足を運ぶ必要があり、認可までに最低でも1年半以上はかかります。そのため早期に土地活用したいオーナーには、保育園経営は難しいかもしれません。

そもそも保育園が不足しているから自治体は土地や施設の提供者を公募しているわけで、その地区に需要を満たすほどの保育園が建設されれば公募の必要はありません。このため、公募を打ち切る自治体もあります。オーナーは保有地のある自治体での事前リサーチが必要でしょう。

騒音問題や感染症などのリスクも

「保育園の騒音がうるさい」と近隣住民との間でトラブルが全国で発生しています。なかには訴訟問題に発展したケースもあるほどです。また怪我やインフルエンザ、ノロウイルスの集団感染など、幼い子どもを預かるビジネスならではのリスクはつきまといます。

自ら保育園経営をする場合はこれらのリスクにちゃんと対処できる体制を整えておかなければなりません。もちろん運営会社に任せる場合でも、オーナーは見て見ないふりはできません。最悪の場合、休園や廃園に追い込まれかねないからです。運営会社にはその力量に当然、格差はあるはずです。事前に評判などを聞き、慎重に選定する必要があるでしょう

保育園経営は地域貢献になる土地活用

保育園経営は補助金や税制面のメリットがありますが、その他にもメリットは多く、無認可保育園も含めて検討する価値があります。

その1つが、長期的な安定経営が期待できること。厚生労働省の「保育所等関連状況とりまとめ」(2017年4月1日)によると、待機児童問題が2050年まで解決の見込みがないとされています。あと30年ほどは保育園の需要が高いと予想できるデータです。

また運営業者との一般的な契約期間は20年以上となりますが、契約期間が満了しても地域には不可欠な施設なので契約は更新されることがほとんど。減価償却が完了していればオーナーがまるまる利益を手にできます。

認可保育園の場合、保育料は保護者から行政に払われ、運営会社に還元されるので、賃貸料の回収リスクを心配する必要がありません。

また保育園運営で忘れてならないのは地域貢献です。政府は重要施策として女性の雇用促進を推進していますが、幼い子どもを持つ親の支援体制はまだ十分とは言えません。待機児童問題を解決してこそ、働き盛りの女性(男性も)が安心して社会に進出できるのです。遊休地を保育園に活用するということは、子育て世代の母親、父親を応援することでもあります。社会的意義の大きな保育園事業は、少子高齢化の今だからこそ、真剣に考える価値があるのです。

経営が安定しやすい無認可保育園(フランチャイズ)もおすすめ

認可保育園は補助金を受け取れるうえに利回りも高く、土地活用方法としては最適です。しかし、認可保育園の設置基準や認可されるまでに1~2年ほど時間がかかる等のデメリットもあり、あえて無認可を選ぶオーナーもいます。なかでも注意したいのが、園児の声や送迎の自転車・自動車が近隣の迷惑になることを不安視した住民とトラブルになること。開園前に説明会を実施することでトラブル回避のために動く必要がありますが、知識がない場合、適切なリスクマネジメントが行えない可能性もあります

フランチャイズの場合、これまでにいくつもの保育園経営をサポートしてきたノウハウがあるため、開園に向けての説明についても対応可能。また園児を集めるノウハウや保育士の指導、広告など多岐にわたったフォローで、経営をサポートしてくれます。認可保育園設立のデメリットが気になる場合、「フランチャイズの無認可保育園」という選択肢を考えてみるのも良いかもしれません。

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