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ベビーホテル・託児所の経営

ベビーホテル

ベビーホテル・託児所の特徴と、経営するにあたって知っておきたい開業の手続きについてまとめました。

ベビーホテル・託児所とは

託児所とは、保護者に代わって子どもを預かり保育を行う施設のこと。国が定めた児童福祉施設最低基準に沿った保育所には該当しない、認可外保育所となります。

デパート・スポーツクラブ・医療機関等に設置された一時的に子どもを預かる施設から、保育園のように継続して預かる施設まで形はさまざま。基本的に決められた時間子どもを見たり遊んだりするのみで、教育のようなことを行う施設はほとんどありません。

ベビーホテルとは、認可外保育所のうち20時以降も保育を行っている・子どもの宿泊を伴う保育を行っている・利用児童のうち一時預かりの児童が半数以上、のいずれかに該当する施設を指します。

宿泊・夜間保育・任意の時間帯預かりなど、保護者の都合に合わせて柔軟な対応をしてくれる施設が多め。定員は10~20人程度の規模が多いようです。

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ベビーホテル・託児所開業の手続き

乳幼児を6人以上預かる託児所やベビーホテルは、開業してから1ヵ月以内に各自治体へ届出をする必要があります。東京都の場合は「福祉保健局少子社会対策部子育て支援課」となりますが、各自治体ごとに名称が異なるので市区町村の役所に聞いてみるとよいでしょう。

ベビーホテルの場合は、認可外保育所のうち20時以降も保育を行っている・子どもの宿泊を伴う保育を行っている・利用児童のうち一時預かりの児童が半数以上のいずれかに該当している施設は必ず届出をしてください。

託児所は設置基準などの指導が各自治体からあり、認可外であっても一定の基準を満たしているようであれば、行政からの助成を受けられるケースもあるようです。ただし、ベビーホテルには行政からの助成等はありません

ベビーホテル・託児所を経営するための注意点

いわゆる認可外保育所であるベビーホテル・託児所は、認可保育園などに比べると規制がかなり緩いのが特徴。開業する場所・料金・職員の数から保育の内容まで、すべて経営者が自由に決められます

そのため、ベビーホテルでは狭い保育室に大勢の子どもがギュウギュウ詰めになっていたり、十分な保育が行き届かないなどのトラブルが起きたこともありました。保育事業に携わるという意識の低い経営者もおり、利益だけを目的とした劣悪な環境の施設も多く見られたようです。

そんな背景もあり、ベビーホテルに関しては原則として年に1回以上、事前通告なしの立ち入り調査を実施。子どもを保育するのにふさわしくない施設とされれば、事業の停止・閉鎖を命じられることもあります

認可外であっても子どもを預かる施設であるからには、子どもを健康的に保育するために必要な環境をしっかり整える必要があります。

ベビーホテル・託児所の労働環境

保育士

ベビーホテルは夜間営業や24時間営業しているところを除けば、ふつうの保育所と仕事内容や条件などにそれほど違いはありません。保育士の資格を持つ人ももちろん働いていますが、保育士は全体的に人手不足なので、誰でも働ける無資格のパートやアルバイトの募集のほうが目立ちます。

夜間や早朝の時間帯ですと、ふつうの保育所より時給が高めに設定されていますので、昼間は本職や事情があって働けない人にとっては好都合かもしれません。

しかし、認可外の施設なので国からの補助金などがなく、人件費を節約するために少ない人数で仕事をこなさなければならないこともあり、施設によっては劣悪な職場環境になる可能性もあります。保育士が少なくて無資格の人が多いと、経験や知識不足からトラブルが発生しやすくなり、スタッフにかかる負担も大きくなってしまいます。

また、24時間体制のところだと夜勤を含むシフト勤務になって、不規則な生活スタイルになることが避けられません。

託児所の求人は、保育士資格保有者の正社員や契約社員の募集が多く、無資格でも非常勤や短時間のパートで働くこともできますが、保育士の補助的な役割になります。託児所は企業内に敷設されていることが多いので、保育士の正社員として採用されれば、年間休日や賞与などの福利厚生がしっかりしている好条件で働くことができます。

営業時間も昼間だけのところが多いので残業時間が少なめ、シフト制の場合も夜勤などがないので無理なく働ける環境になっています。

ベビーホテル・託児所の施設数

厚生労働省の「認可外保育施設現況とりまとめ」によりますと、平成27年度のベビーホテルの施設数は1,579 ヶ所、その他の認可外保育施設は5,344 ヶ所となっています。 これらの施設を利用している入所児童数は、ベビーホテル30,121 人、その他の認可外保育施設147,756 人です。

これを単純計算すると、ベビーホテル1ヶ所あたりの利用者数は20人ほど、その他の認可外保育施設1ヶ所あたりの利用者数は27人ほどという結果になります。 これに対して、認可保育所の施設数は25,000件前後、利用者数は250万人程度になっていますので、ベビーホテルや託児所の数は保育所全体から見ても少ないといえます[1]。

ベビーホテル・託児所は増加傾向?

上述の厚生労働省のとりまとめによると、平成20年度のベビーホテルの施設数は1,597 ヶ所、その他の認可外保育施設は5,751 ヶ所となっています。 現在の状況と比較すると、ベビーホテルは減少傾向、その他の認可外保育施設は増加傾向にありますが、どちらも毎年わずかな増減を繰り返しているので、極端な数の違いはなく、ほぼ横ばい傾向にあるといえます。

ただ、平成21年度の認可保育所の数は23,000件ほどなので、こちらは増加傾向にあるようです[2]。

少子化の進んでいる昨今では、人口の少ない地域では小規模な保育所が多く、人口の多い地域では大規模な保育所に需要があるため、地域によって施設数に大きな違いがあります。

特に、認可保育所は常に入所待ちの児童がいる状態で待機児童が2万人以上いる状態なので、夜間や一時預かりが可能なベビーホテルや託児所は、一定数の需要があるため、極端に少なくなる可能性は低いでしょう。

待機児童数も常に変動しており、平成27年度の待機児童数は23,167人で、5年ぶりに増加しています。 また、地域によってもその増減に違いがあり、例えば大分市では400人以上、船橋市では300人以上増加している一方、大田区では450人以上、広島市では380人以上減少しています[3]。

今後、ベビーホテルや託児所を開業する場合には、待機児童数の多い地域や、認可外保育施設が少なくて需要の高い地域で検討するとよいでしょう。

フランチャイズという選択肢

保育士

ベビーホテル・託児所を経営する上で、フランチャイズ(FC)という選択肢もあります。ベビーホテルや託児所は保育園とは違って一時的に預かる施設(継続して預かる形態もあり)がほとんどで、教育を行う施設ではありません。認可外保育所となるので規制も緩く、ましてや待機児童が多い昨今、経営もそれほど難しくないと思われがちです。

ですが、親御さんからすれば一時的とはいえ大切な子供を預けるわけですから、近くにベビーホテル・託児所ができたからというだけで簡単に利用するとは限りません。

実際に、ベビーホテル・託児所の経営が初めてという方なら、なおさら経営のノウハウはもちろん、保育に関してのノウハウも身に付いていないでしょうから、トラブルが発生する可能性もあります。

FCなら、開業前に園長はもちろんスタッフにもそういったノウハウを指導してくれますし、開園に適した環境や立地の調査、資金調達の相談、安定した運営についての支援など、いろいろな面でサポートしてくれます。

一方でFCに加盟すると、加盟料が発生してしまいますし、開園後も毎月ロイヤリティーが発生するところもあります。また、FCにすると、その会社の経営方針に従わなければいけない部分もあり、自分が思い描いた保育体制とは違ってしまうケースもあるようです。

それもそのはず、FCにするということは、その会社の看板を背負うことにも繋がるので、オリジナリティを出したために評判を落とすようになっては、他のFC加盟保育園にも悪影響を及ぼしかねないからです。

加盟料、ロイヤリティーなどの費用面は負担になるかもしれませんが、そもそも利用する子供がいなければ資金繰りは厳しくなります。今はインターネットなどで運営母体を調べることが容易にできるので、新しくできたベビーホテル・託児所が他の保育園なども運営しているということが分かれば、安心して利用するはずです。

またFC会社によっても運営方針が違いますし、ある程度融通が利くところもあります。まずは、一つの選択肢としていくつかのFC会社の話を聞いてみるといいかもしれませんね。

開業までの流れ

FCでベビーホテル・託児所を開業する場合の一般的な流れを紹介します。

ベビーホテル・託児所のイメージを作る

まずは自分で、開業するベビーホテル・託児所の立地や規模、方針などのイメージをある程度作っておきましょう。

FC・コンサル会社に相談

いくつかのFC・コンサル会社に資料請求をし、相談してみましょう。そこでその会社の経営方針や費用面などを確認するとともに、自分の希望も話してみましょう。

FC加盟登録・プランニング

自分のイメージと合致する会社が見つかったなら、FC加盟登録を行います。そしてそこから開業に向けて立地、経営計画、資金調達など細かな部分までのプランニング・シミュレーションを開始します。

開所地の決定、物件探し・契約

さまざまな統計データなどを基に立地を決定します。

開所日、ネーミングの決定、広告・チラシの準備

何曜日に子供を受け入れてくれるのか、何という名前の場所なのか明確にします。

施設内レイアウトの設計、保育士・スタッフの募集

受け入れる子供の人数によって、必要な保育士あるいはスタッフ数が変わるので、綿密に確認しておきましょう。

オーナー研修

ベビーホテル・託児所を経営していく上で必要な知識など、FC会社がオーナー研修により指導します。

保育士・スタッフの面接・研修

応募があった保育士・スタッフを面接し、採用します。採用したらFC会社のマニュアルに基づいて研修を行い指導します。

見学会の開催

どのような施設なのかを知ってもらうため、見学会を開催します。継続して子供を預かるスタイルなら、募集も行います。

ベビーホテル・託児所のオープン

全てが滞りなく済んだらようやく新規開園が実現します。

コンサルタントを利用しよう

ベビーホテル・託児所はオープンすれば利用者が増え、利益が出るという訳ではありません。また、施設での保育体制はすべて保育士・スタッフ任せで構わないという事でもないでしょう。一貫した適切な保育体制が整っていないと、利用者が増えないばかりか、悪い評判が広まって経営がままならないケースも少なくなりません。

ベビーホテル・託児所を運営していく上では、その道のプロであるコンサルタントを利用するのもいいでしょう。コンサルタントを利用するメリットをまとめてみました。

統計データに基づき、適した立地をリストアップしてくれる

待機児童が多いといっても、地域によってその数はまちまちです。コンサルタントに相談すれば、さまざまな統計データに基づき、どこにベビーホテル・託児所をオープンすれば利用者が増えるのかをリストアップしてくれます。

収支シミュレーションをしてくれる

オーナーが一番気になるのは利益が出るかどうかでしょう。必ずしもデータ通りにはいかないものの、収支シミュレーションがあれば参考になるでしょう。

ベビーホテル・託児所経営のノウハウを学べる

ベビーホテル・託児所、保育所などの経営をしたことがないと、思いがけないトラブルが発生することもあります。コンサルタントを利用すれば、経営のノウハウだけでなくそういったトラブルを未然に回避する方法や対処法などもアドバイスしてくれるでしょう。

アフターフォロー

オープン後もスムーズに運営していけるように、コンサルタントがいろいろな面でアフターフォロー、サポートしてくれます。

【参考URL】

参考[1]:『平成27年度 認可外保育施設の現況取りまとめ』
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000159036.html

参考[2]:『認可外保育施設の現況(平成 21 年 3 月 31 日現在)』
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku06/dl/090331.pdf

参考[3]:『保育所等関連状況取りまとめ(平成 27 年4月1日)』
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000098603.pdf

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