フランチャイズ経営と税金について
このページでは、フランチャイズ経営を続ける上で覚えておかなければならない税金の種類や、必要経費などについて解説しています。税金や経費はキャッシュフローに直結する重要ポイントなので、きちんと把握しておきましょう。
フランチャイズ経営でかかる税金
フランチャイズ経営を続ける上で重要な税金として、代表例を紹介します。事業内容や状況、エリアによって他にも税金がかかる場合もありますが、まずは基本を押さえておいてください。
所得税
所得税は仕事によって給料を得ていたり、事業によって収入を得ていたりする人が基本的に支払っている税金です。所得に応じて課税される税金であり、所得額が大きくなるほど税率も上がっていく累進課税制が採用されています。
なお、所得とは年間の収入から必要経費や控除などを差し引いた金額であり、フランチャイズ経営を行う個人事業主の場合、事業収益から経費を差し引いた金額などとして考えることもできます。
住民税
住民税は地方自治体に支払う税金であり、課税対象は所得税と同様に所得額です。ただし、所得税の税率が国税として一律に定められている一方、住民税は自治体ごとに税率が定められており、暮らしているエリアによって税率に差が生じる可能性もあるでしょう。
事業税
事業税(個人事業税)は、個人事業主として事業所得が290万円を超過した場合に課税される税金です。事業所得が対象となるため、売上が290万円を上回っていたとしても、人件費やロイヤリティ、施設維持費など必要経費と差し引きして290万円未満になれば事業税の支払いはありません。
参照元:東京都主税局公式HP/個人事業税
法人税
個人事業主として事業を行うのでなく、法人化して会社としてフランチャイズ経営を行う場合、事業税の代わりに法人税が課せられます。
消費税
消費税は売上に対して発生する税金であり、2022年現在は税率が一部を除いて10%で統一されています。なお、食品や新聞代など一部の費用については軽減税率(8%)が適用されていることもあり、経理として処理する際には必ず10%の税率か8%の税率かをきちんと区別して計上することが大切です。
免税事業者とインボイス制度
年間売上が1千万円に満たない場合、消費税を国へ納めなくても良いとする免税事業者になることが可能です。つまり、年間売上1千万円未満の事業者にとって、消費税は売上の一部として考えることができます。
ただし、2023年10月から始まるインボイス制度によって、免税事業者は「適格請求書発行事業者」として領収書を発行できないといったデメリットも発生。消費税を払うべきか否かも含めて、事業登録の検討が必要です。
参照元:(PDF)東京都主税局公式HP/令和4年度版ガイドブック都税2022
固定資産税
保育園のフランチャイズ経営を始めるに当たって、保育園として利用できる施設や土地などを事業者が自ら用意している場合、それら自分が所有する不動産に対して固定資産税がかかります。
また、地域によっては都市計画税といった税金が課せられることもあるので、開業前に確認しておく事項としてピックアップしておきましょう。
加盟金やロイヤリティの扱いに注意する
フランチャイズ経営を始めるに当たって注意すべき費用として、フランチャイズへの加盟金と、定期的に支払うロイヤリティがあります。
加盟金や最初に支払うイニシャルコストですが、ロイヤリティは定期的に支払い続けるランニングコストであり、税金や経費を考える上でそれぞれ区別して処理することが必要です。
加盟金
加盟金はフランチャイズへ参加する際に支払うコストであり、会員制サービスの入会金と同じような性質のものです。その額はフランチャイズのブランドによって異なっており、場合によっては加盟金が免除されているようなケースがあるかも知れません。
加盟金はフランチャイズ経営を事業として開始するに当たって必要となる初期費用(イニシャルコスト)であり、定期的に支払う必要がないものの、ある程度まとまった金額が提示されることもあります。
フランチャイズを比較検討する際に、加盟金の金額についてもしっかりとチェックしておきましょう。
加盟金は繰延資産
加盟金は初年度に支払うコストですが、初年度に全額を経費として計上できない「繰延資産」として扱われます。
フランチャイズの加盟金は原則5年間が償却期間となっており、5年に分けて経費計上することがポイントです。
ロイヤリティ
ロイヤリティは、フランチャイズグループの一員として事業を続けていく上で、本部へ定期的に支払っていく費用であり、フランチャイズの名称やシステム、サービスなどを利用するための権利料・利用料と考えることができます。
ロイヤリティは一般的に、経営によって得られる売上に応じて利率が設定されており、売上が上昇することにロイヤリティが上がっていき、売上が少なければロイヤリティも少なく抑えられるといったことが考えられます。
なお、売上が少なすぎる場合、ロイヤリティがゼロになるのか、最低限の費用が設定されているのかについて、必ず事前に確認しておかなければなりません。
ロイヤリティはフランチャイズ経営の事業存続に必要なランニングコストであり、売上から経費の一部として差し引きすることが可能です。
フランチャイズで節税する方法はある?
事業の価値を高める上で、節税対策をしっかりと考えて、税金として支払うコストを少しでも抑えることは大切です。
ここではフランチャイズ経営で考えられる節税対策の代表例について解説していますので、まずは概要を把握しておいてください。
設備投資に関する特例
個人事業者や中小事業者などが事業目的で機械や設備を導入した際、基本的に設備機器などは償却資産として定められた年数をかけて経費計上する、減価償却が適用されます。しかし一定の要件を満たした場合、購入費の一部を経費としてすぐに計上できたり、購入額に応じて税額控除を受けられたりといった特例制度が存在します。
特に税額控除は事業者が支払うべき税金をそのまま割り引いてもらえるため、節税対策として大きな効果を発揮させられることがポイントです。
保険や制度の利用
個人事業主としてフランチャイズ経営をするに当たって、国民年金基金や個人型確定拠出年金(iDeCo)、または小規模企業共済といった制度を利用して掛け金を支払うことも、節税対策として有効です。
加えて、自分の生活や事業リスクの軽減のために民間の生命保険や損賠保険などを利用している場合、その保険料も経費として計上すれば節税対策になるので、専門家に確認してみましょう。
ただし、それらの費用は支出としてキャッシュフローを圧迫する可能性があるため、必ず支出と収入のコストバランスを考えて有効性を考えていくようにしてください。
法人化の検討
法人化することによって、事業の売上から給与として収入を支払って経費の調整を行ったり、法人を対象にした特例制度や助成制度を利用できたりと、節税面や経理面でメリットを得られる可能性もあります。
ただし、法人設立にもコストがかかるため、トータルのバランスを考えることが必要です。
まとめ
フランチャイズ経営を続けていくに当たって、考えておくべき税金の種類は様々です。また、およそ全ての事業者が対象となる税金があれば、事業規模や事業形態などによって有無が分かれる税金などもあり、あくまでも自分のケースに照らし合わせて考えるようにしてください。
なお、適正な節税対策としてランニングコストを増やすといった選択もありますが、闇雲に経費を増やすとキャッシュフロー破綻のリスクが増大するため、不安があればフランチャイズ本部や専門家へ相談するようにしてください。