セラピスト
セラピストとして開業するにあたって、必要なことを解説します。
セラピストの開業スタイル
セラピストで独立開業する場合、その働き方としてさまざまなスタイルが考えられます。
サロンの家賃を節約したいときには、知り合いのサロンの一室を間借りしたり、フランチャイズの加盟店になったり、といった方法があります。また自宅を隠れ家のようなサロンにしたり、思い切って店舗物件を借りたり、などの方法をとる方もいます。
資金に余裕がある場合は、賃貸物件を活用しても良いかもしれませんが、事業資金はなるべく残しておいた方が売り上げが少ない時などに助かります。
店舗を借りる場合は、立地や物件の規模によっても価格が上下します。資金に余裕がないのであれば、まずは既存のサロンで業務委託という形態にしてもらい、少しずつ独立の準備を進めるというスタイルが現実的と言えるでしょう。
セラピストとして開業するメリット・デメリット
メリット
どの分野での開業にもあてはまることですが、独立開業する一番のメリットは、自分の思い通りのサービスを提供できるという点です。
セラピストの場合は、サロンのコンセプトや施術料金、営業時間などを、すべて自分で決められること。対象とするお客さんを限定することも可能ですし、施術内容も自分の思うように変更できます。
こうしたメリットを魅力に感じて、独立開業を考えるセラピストは多いです。ただ、メリットばかりではありません。開業するにはデメリットもあります。
デメリット
セラピストとして組織の中で経験を積んできた方が開業した場合、その後は、自分で顧客を見つける必要があるという点に、デメリットを感じることがあるかもしれません。
顧客が少なければ、なかなか売り上げをあげることができず、徐々に事業資金から捻出できる費用も減っていきます。事業が軌道に乗れば理想的ですが、月によって売り上げに幅がある場合は、不安定な生活になる恐れもあります。
また、年度末には自分で確定申告を行う必要もあります。帳簿をきちんと作れる方は良いですが、不慣れだと日々の経費を計上するのも億劫に感じるでしょう。
個人経営の場合、セラピストの仕事にはほとんど経費はかからないものの、節税について学んでおくことも大切です。
セラピストの開業後の給料・年収
独立開業後のセラピストの給料や年収は、もちろん人によって異なります。成功者の場合では、年収1,000万円以上の売り上げをあげている方もいるようです。
セラピストの仕事は、他の業種に比べ、月々かかる費用も少なく、その分、利益も大きくなります。他のサロンと差別化ができれば、成功につながるチャンスも増えるでしょう。SNSなどで噂になって顧客が増えれば、さらに口コミで広がる場合もあります。
顧客が増えるほど、一人では対応しきれなくなっていくため、スタッフを雇う必要も出てくるでしょう。あるいは、あくまでも自分一人で対応するとなると、1日に施術人数を制限して、施術料を上げるという手段に変わってきます。
セラピストの開業前にすべきこと
上の項目で、セラピストの開業スタイルや開業のメリット・デメリット、開業後の給料・年収などをお伝えしてきましたが、実際に開業するには、何から始めれば良いのでしょうか。ここでは、開業前に必要な準備などについて解説します。
資格を取得する
セラピストとして開業し、たくさんのお客さんに信頼してもらうには、やはり資格を取得しておくことがポイントになります。
資格を保有していることで、セラピストの技術があることの証明になります。お客さんからの信用が得やすくなるため、資格はぜひ取得しておきたいもの。
リラクゼーションやアロマなど、セラピストの種類も豊富ですが、それぞれで資格は必要です。ただ、中には資格が必要ないものもあるため、まずは情報収集を行って確認しておきましょう。
無資格でセラピストになれる場合でも、専門知識や技術を証明できる資格があれば、後々助けになる場合もあります。
サロンの場所を決める
開業する日程や必要な資金に目星が付いたら、サロンを始める場所を決めましょう。
サロンの開業場所には、自宅の一部や店舗を借りるなどの方法があります。実際にセラピストとして独立開業した方に話を聞いてみて、どの開業場所が自分に合うかを検討しましょう。
いずれの開業場所を選ぶ場合でも、事前に集客のためのスキルを習得しておくことが大切です。
起業の準備をする
開業にかかる費用や手続きについて準備を進めましょう。まずは、家賃や光熱費、消耗品代、広告宣伝費、研修費、人件費など、開業に必要な費用を大まかに計算します。サロンのオープン前に改修工事が必要であれば、その費用についても調べておきましょう。
開業の手続きは、開業届の提出やスタッフを雇う場合は「給与支払い事務所等の開設届出書」の提出、施術所の開設届の提出などです。フェイシャルエステなどの施術を行う場合は、保健所への手続きも行います。
ただし、セラピストの種類によっては、提出不要の書類もあります。事前にどの書類が必要なのかを問い合わせておきましょう。
経営ノウハウを学ぶ
セラピストとして独立開業し、サロンの経営を成功させるには、経営ノウハウを学ぶ必要があります。また、経費などの帳簿のつけ方や確定申告について学ぶほか、決済方法も決めておきましょう。
個人経営の場合は、「顧客があまり定着しない」、「新規のお客さんが来ない」といった悩みが多く聞かれます。いくらセラピストの技術が優れているといっても、たくさんの人に知ってもらう場がなければ、顧客は増えていきません。
顧客を集めるには、しっかりとした経営戦略を立て、マーケティングを行い、たくさんのお客さんを集めるシステムを作ることが重要です。
集客方法を考える
自分で集客を行うには、ホームページやSNSを活用するのがおすすめです。
セラピストは、実際に施術された人でなければわからない、形のないサービスを提供する仕事です。そのため、集客方法も工夫をしなければ、お客さんに自分のサロンの魅力を伝えられません。
ホームページやSNSで効果的な宣伝を行い、多くの人にサロンのことと、セラピストの自分のことを、知ってもらうことから始めましょう。
サロンや業務に必要なものを準備する
施術に使用するベッドや器具、待合室に設置するソファー、シューズボックスなど、初期投資として必要なものを用意しましょう。業務に必要なものをリストアップしておくと、費用の計算もしやすく、買い忘れ防止にもなります。
セラピストの開業後にすべきこと
事前準備を整えてサロンをオープンしたからといって、経営がすぐに軌道に乗るとは限りません。ここでは、開業後に行う開業届の提出や集客方法などについて解説します。
開業届の提出
開業届は、「事業を始めた日から1ヶ月以内」に提出しなければなりません。届出書を税務署に提出するだけで、手続きは完了します。届出書は、税務署に持参するか、あるいは郵送でも手続き可能です。
集客
独立開業して事業を成功させるには、マーケティングが重要です。他のサロンとの差別化を図るには、セラピストとしての自分の強みや、ターゲットを明確にすることが大切になります。
方向性が明確になったら、ホームページやSNSを更新して、世間に広くアピールしましょう。
また、イベントなどに出店参加すれば、新規のお客さんを獲得するチャンスにもなります。
スキルアップ
せっかく集客に成功しても、お客さんが満足しなければ、リピーターはつきません。そのため、開業後もサービスの質の維持や技術をアップさせるために、日々スキルアップに励むことが大切です。
確定申告
自営業の定めとして、確定申告は自分で行わなければなりません。確定申告には、白色申告と青色申告がありますが、節税を考える場合は、青色申告を選択しましょう。
帳簿の付け方がわからない場合は、アプリやクラウドシステムなどのサービスを利用すれば、比較的簡単に帳簿が作れます。