介護
介護事業を開業するために覚えておきたい基礎知識についてまとめました。
介護事業の開業と高まるニーズ
2025年には高齢者人口がピークを迎えると言われている日本。75歳以上の後期高齢者人口が急増し、世帯ごとの事故解決力の低下も懸念されており、介護事業への期待とニーズはどんどん高まっています。
介護サービスの種類
介護サービスの種類と、それぞれの事業の開業メリット・デメリットについてまとめてみました。
いわゆるホームヘルプです。ホームヘルパーが利用者宅を訪問し、日常生活(食事・排泄・入浴などの介助や、掃除・ゴミ出し・買い物などの代行)の支援を行います。
訪問介護事業を始めるには法人格(株式会社・NPO法人・社会福祉法人など)を取得している必要がありますが、大型設備や特別な備品もないため比較的新規に開業しやすいサービスです。
まずは訪問介護事業の認定を受け、経営が軌道に乗ってきたところで他のサービスに参入していくというのが介護事業拡大の一般的なケースとなっています。
居宅介護支援事業はケアマネジメントとも呼ばれ、要介護者やその家族に適した居宅サービス・施設サービスを利用できるようケアプランの作成・要介護認定の申請代行などを行う事業。
ケアマネージャー(介護支援専門員)の資格があれば1人でもスタートすることができるため、低コストでの開業・経営が可能。他の介護業者と提携・併設すれば、さらなる業務の拡大も期待できます。
ただし、ケアマネージャーの資格試験合格率は約15%という難問のため、取得が難しい場合は人材の確保が大きなポイントとなります。
通所介護とはいわゆるデイサービス。専門の施設に要介護者や支援者が通い、食事・入浴などの介助や機能訓練等を受ける日帰りサービスです。施設の設備やレクリエーションなどの内容によって他社と差別化を図ることができ、比較的個性を出しやすいのが特徴。
開業の条件も満たしやすく、訪問介護と並んで需要も高いものとなっています。ただし大型の施設・部屋・備品が必要となるため、初期投資額が大きくなります。
福祉用具貸与事業とは、要介護者が自立した生活を送るために必要な福祉用具(車いす・歩行器・歩行補助つえ・スロープなど)の選定・貸与・設置・調整などを行うサービス。開業には各都道府県に申請を行い、指定介護事業者として許可を受ける必要がありますが、要件を比較的満たしやすく開業しやすいサービスといえます。
ただし、ある程度の初期投資額は必要です。
介護事業を始めるには
介護事業者として指定を受けるためには、以下の要件を満たすことが必要です。
原則として、介護事業者は法人格を取得している必要があります。法人格には、株式会社・NPO法人・社会福祉法人・医療法人などが挙げられます。
指定基準とは、人員基準・設備基準・運営基準のこと。訪問介護・通所介護事業・居宅介護支援事業など、各事業によって基準は異なります。
開業する介護事業の種類や規模によって異なりますが、少なくとも500万円は必要。その内訳には以下のようなものがあります。
- 法人設立費用(定款認証・印紙代・登録免許税)
- 物件取得費用(物件の敷金・礼金・仲介手数料)
- 改修工事費用(施設のバリアフリー化、必要な設備の新設など)
- 備品調達費用(デスク・椅子・書庫・パソコン・電話など)
- 職員の雇用費用(求人広告など)
- 広告宣伝費用(施設のパンフレット・HP作成・チラシ作成など)
- 当面の運転資金(賃料、人件費、光熱費、リース代等)
介護と保育の共通点
介護事業の開業は「初期投資額が比較的少ない」、「大量の在庫を抱えるリスクがない」、「一定以上の顧客を獲得できれば安定経営が見込める」など、保育事業に通じるところがあります。保育事業と同様に継続した利用が期待できますし、リピーターの獲得もそこそこ容易であると言えます。
実際、介護と保育どちらの事業も手掛けている会社も多いものです。業務に必要な資質も似通っているため、両者の特徴や将来性などを見比べて選ぶと良いでしょう。