高齢者向け代行サービス
高齢者向け代行サービスを起業する場合に、必要な手続きや資格、料金設定などについて解説します。
高齢者向け代行サービスを起業するには
高齢化が進むにつれ、代行サービスを利用する方が増えていることから、高齢者向け代行サービスに注目が集まっています。高齢者向け代行サービスで一般的なのは、家事代行や買い物代行です。サービスを行うにあたって必要な許可はないため、すぐに開業できます。
ただし、起業後は個人・法人に関わらず事業主となるため、住んでいる地域を管轄する税務署へ、起業後1ヶ月以内に「開業届」を提出する必要があります。青色申告を行う場合は、同時に申請書の提出が可能です。
また、屋号での口座を開設し、事業専用の通帳を作っておくことも忘れずに行いましょう。
需要はあるのか?
高齢化で問題視されているのは、軽度の認知症の方が増えることで、さまざまな支障が出る可能性があるという点。運転免許証の返納や、足腰が弱くなって、家事などの日常的な活動が難しくなるといった高齢者が多くなることは、容易に予測できます。また今後、介護保険で活用できる1人あたりのサービス時間が、減少することも考えられます。
代行サービスは幅広い世代に需要がありますが、特に高齢者向け代行サービスの需要は大きいといえます。
高齢者向け代行サービスの主な種類は、食事や掃除、洗濯などの家事代行、買い物代行などです。
買い物代行を例にあげても、「スーパーなどのお店が近くにない」「外出が面倒」「重い荷物が運べない」「ネットショッピングができない」「近場の店に欲しいものが売っていない」など、人それぞれ悩みや要望は異なります。そのため、一人ひとりのニーズに応えられるような、柔軟なサービス展開が望まれます。
高齢者向け代行サービスの起業に必要な資格
一般に主婦が行う家事と同等の代行サービスを行う場合は、特に必要とされる資格はありません。ただ、業務内容や取り扱う商品によっては、免許や資格が必要なケースもあります。
例えば、酒・タバコや、医薬品などの販売を行う場合は、「酒類販売業免許」や財務大臣の許可を受ける必要があります。
また、家事代行をメイン業務として、買い物代行のサービスも請け負うという場合は、「整理収納正装(3S)コーディネーター」や「整理収納アドバイザー」、「ハウスクリーニングアドバイザー」、「家事代行アドバイザー」、「家政士」などの資格を取得しておくと良いでしょう。
買い物代行の場合、バイクや軽自動車などを利用し、商品を顧客に送り届ける行為を行うには、「貨物軽自動車登録」が必要になるケースもあります。
注意が必要な商品
届出や資格が不要な場合でも、以下のような商品には取り扱いに注意が必要です。
- 動植物
- 生鮮食品
- ブランドなどの模倣品
- 海外からの輸入品
- 火気・火薬類
- 大き過ぎるもの・重過ぎるもの
- その他、法令などに違反するもの
サービスを行うにあたって、その商品が規制の対象となるものではないか、常に確認することが重要です。
高齢者向け代行サービスの料金設定
買い物代行や家事代行などの、高齢者向け代行サービスの料金相場は、1時間あたり、2,000円〜4,000円程度です。業者の中には、定額制を採用していたり、商品代金の○%などと設定したりしているところもあります。
料金は安ければ良いというものではなく、サービスの質も問われます。支払う金額内で、どの程度のサービスを提供してもらえるのかという、顧客の不安も考慮する必要があるでしょう。
多くの代行業者では、初回限定で「お試し価格」を設定しています。まずは、代行サービスの内容やメリットなどを体験してもらうことで、顧客獲得のチャンスが得られます。
また、代行サービスを行う際にかかる、交通費などの費用も請求額に計上することになります。顧客からの信用を得るには、明瞭な料金設定が大切です。
手数料制より月額固定制がおすすめ
依頼内容や利用頻度は、顧客によって変動します。1時間〇〇円といった時間単位制の料金設定は、売り上げが把握しづらく、依頼も不定期になりがちです。ビジネスとして高齢者向け代行サービスを継続していきたいのであれば、「月額固定制」がおすすめ。月額固定制は、毎月の利用料金が固定されているため分かりやすく、顧客も定期的に代行サービスを利用できるため、ビジネスとして安定しやすくなります。
また、買い物代行サービスの場合は、顧客数が多くなると、一度に複数の顧客の買い物を行うことも可能です。効率よく利益があげられる分、料金を下げれば、顧客のリピート率も高くなるでしょう。さらに、いつも依頼される日用品の買い物などは、倉庫などに保管しておくことで、買い物の回数も減らせます。
高齢者向け代行サービスを起業する際の注意点
買い物代行を行う場合は、バイクや車などを使用することが多いため、移動中の事故には注意が必要です。特に、依頼される商品によっては、見知らぬ土地に出向くこともあるでしょう。運転中は常に注意を払いましょう。
高齢者向け代行サービスは需要のあるビジネスのため、当然ながら競合他社が少なくありません。なかにはワンコインで代行サービスを提供している業者もあります。安定した経営を継続していくにはライバル会社の動向をチェックし、他社と差別化できるサービスを考え、戦略的な運営を実践していくことが大切です。