院内保育の経営
病院内で児童を預かる「院内保育」について、その特徴や経営にあたっての注意点などをまとめています。
院内保育とは
その名の通り、病院内またはその周辺に設置された保育所のことを指します。病院に勤務している医者や看護師の方々のお子さんを預かっており、一部の施設では24時間保育に対応しているようなところもあります。
院内保育も企業内保育の一つとして扱われ、政府が進める子育て支援の一つとして助成金支給などを受けることができます。保育所の経営自体を委託することも可能で、運営は保育事業者が行っているケースも。
人材不足に悩まされている病院の労働環境改善の一つとしても注目が集まっています。
院内保育の手続き
院内保育の開業にあたっては、地方自治体との連携が必要不可欠です。認可外保育に分類はされますが、運営状況などについては随時チェックが入ります。開業・申請の段階から密なやりとりが重要と言えるでしょう。
検討段階
院内保育を開業する検討段階においても、労働局などへの相談が重要です。申請にあたり提出書類を準備しなければならなかったり、施設が基準を満たしているかを確認したりする必要があります。労働局からは助言をもらうことが可能なので、それを踏まえて申請の内容を見直していきます。
計画の認定申請
増築などがある場合は工事着工の2ヶ月前までに、工事がなく運営開始になる場合は運営開始の2ヶ月前~運営開始後1年が経過する日の2ヶ月前のタイミングで申請を提出する必要があります。
申請方法や設備の基準については、自治体によって法令・条例が異なるため検討段階で確認しておきましょう。各自治体で定めている要件にあわせて、申請を期限までに提出します。
助成金支給申請
運営が開始されたら、決められた期日までに助成金の支給申請を提出します。この支給に対しては審査があり、増築の場合などは建築士の査定が入ります。支給額も自治体によって異なるため、詳細は各自治体の労働局に問い合わせてください。
参考:愛知県(提供:厚生労働省)(https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/56502.pdf)
院内保育を開業するときの注意点
院内保育は、企業内保育と同様に設置に対する基準が設けられています。この基準を満たしているかどうかを確認した上で、各自治体の要件を確認しましょう。
職員設置数
以下のように、預かる児童の数によって配置しなければいけない職員の数が決まっています。
- 乳児:約3人に対して1人
- 満1才~満3才未満:約6人に対して1人
- 満3才~満4才未満:約20人に対して1人
- 満4才以上~:約30人に対して1人
ここで示した数字の合計に「1」を足した数が、配置しなければいけない職員の数です。そのため、最低2人は職員がいなければいけない計算になります。
職員資格
職員の半数以上は、保育の資格を持っている必要があります。無資格の方も、「子育て支援員研修」を修了、または当該年度中に修了見込みとなっている必要があります。
設備の基準
施設に設けられている基準を紹介します。まずは定員20名以上の場合の基準です。
共通 | 医務室、調理室、幼児用便座付き便所 |
---|---|
1才以下 | 乳児室(1.65m²/人)・ほふく室( 3.3m²/人) |
2才以上 | 保育室または遊戯室(1.98m²/人)、屋外遊技場(3.3m²/人) |
以下は定員20名未満の場合の基準となります。
共通 | 調理設備、幼児用便座付き便所 |
---|---|
1才以下 | 乳児室・ほふく室(3.3m²/人) |
2才以上 | 保育室または遊戯室(1.98m²/人)、屋外遊技場(3.3m²/人) |
参考:児童育成協会(http://www.kigyounaihoiku.jp/institution/overview)
院内保育の労働環境
基本的には病院の勤務体系に沿う形になります。大きい病院で急患などに対応している場合、24時間保育をしているところも。早朝・夜勤といったシフト制が発生する場合があります。
ただ、病院の職員の方々の勤務体系にもバラつきがあるため、クラス制や行事といった保育職員さんの負担になりがちなものが少ない点も挙げられます(病院の規模・体制にもよります)。行事の準備などに追われることはないため、安定した働き方ができるといえるでしょう。
預かったお子さんが体調を崩された場合にも対応しやすいというメリットがあります。病院に併設しているため、すぐに対応できる環境です。保護者の方が近くにいることも安心材料といえそうです。