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保育園におけるリスクマネジメント

ここでは、保育園経営におけるリスクマネジメントの重要性や実践方法について解説します。

保育園経営でリスクマネジメントが重要な理由

リスクマネジメントは、保育園にとって万が一の事故を未然に防ぐための大切なプロセスです。保育園の運営者や園長先生だけでなく、ベテランの保育士から新人の保育士まで、スタッフ全員が徹底して行う必要があります。

例えば、保育士一人の思い込みや油断によって万が一の事故や損害が生じた場合、保育園は社会的信頼を失うばかりか、最悪の場合は閉鎖に追い込まれかねません。リスクの大小に関わらず、さまざまな面からリスクを体系的に考えて事前に対策を取ることが不可欠なのです。

特に園児がささいな怪我をした場合、周囲の大人は安易に考えがちですが、怪我をするには必ず原因があり、そこに大きな危険が隠れている可能性もあります。「よくあること」「大したことではない」と決め付けたり、気になりつつも他の業務に気を取られたりして放任すると、大事故につながるかもしれません。

リスクマネジメントはそうした予知できたはずの危険から子供の安全を守ることはもちろん、保護者との信頼関係を保って保育園を存続させるためにあるのです。

リスクマネジメントの実践方法

保育園におけるリスクマネジメントは責任者を立てたうえで、主任保育士からアルバイトまで雇用形態にこだわらず職員全員で取り組むことが重要です。リスクの洗い出しやヒヤリハットの報告、過去の事故報告書の見直しなど、実施項目をリストアップしてみましょう。

分析では「SHELLモデル」をつかう

ヒヤリハットや事故の原因を探る方法に、5つの要因に分けて分析するSHELLモデルがあります。

  • S=Software(ソフトウェア)
  • H=Hardware(ハードウェア)
  • E=Environment(環境)
  • L=Liveware(他人)
  • L=Liveware(当事者)

「S」は規則やマニュアル、習慣などのシステム的要因、「H」は設備や施設の構造などの要因、「E」は勤務状況や湿度・温度、雰囲気などの環境の要因、「L」はその出来事に関与した本人の要因と、当事者以外のスタッフの要因です。うっかりミスや間違いが起きた原因を分析しながら、事故を未然に防ぐ対応策を考えます。できる限り具体的に意見を出し合い、検討することで、スタッフのリスクマネジメントに対する意識向上にもつながります。

PDCAサイクルをまわす

対策の実施後は効果の確認を行い、改善の必要があれば改めて対策を立て直し、再度実施します。この「計画・実行・評価・改善」の流れを繰り返すことを、「PDCAサイクル」といいます。「P=Plan(計画)」「D=Do(実行)」「C=Check(検証)」「A=Action(行動)」の4つの項目の継続的な改善によって、リスクを最小限に抑えることができるのです。効果があった内容については事故防止マニュアルを作成し、記録しておきます。話し合いの内容や注意点などをマニュアルに記しておけば、ベテラン保育士の退職や新人保育士の入社などスタッフが入れ替わった場合でも、スムーズに引き継ぎできます。安全対策の質を一定に保つ方法として有効です。

子どもの安全に関するリスクマネジメント

保育活動中の事故

遊具からの転落や転んだ拍子に唇を切ってしまう、友達同士のぶつかり合いなど、保育中に起こりうる事故はさまざまです。対策例としては、普段利用する保育園内や屋外で、危ない箇所や死角がないかを確認保育士の人数が足りているか、活動内容が園児の成長に合っているか、新しい行事の危険性は十分検討されたかなど、考えられる問題をすべてチェックします。保育内容を定期的に見直しミーティングを設けて、いろいろな方向からリスクを検証しましょう。

睡眠中におこる事故

睡眠中の事故として一番にあげられるのが、突然死として知られる乳幼児突然死症候群(SIDS)です。SIDSは午睡時に非常に起きやすいといわれています。原因ははっきり解明されていませんが、万が一は許されないことなので、午睡時には目を離さず、園児の管理を徹底する必要があります。例えば、5分に1回は保育士が園児の体を触り、異常がないかを確認・記録をとる方法が有効です。午睡のチェックは、保育士一人ではなく、必ず数人で実施してください。

災害に対する備え

突然の火災や地震・台風などの自然災害に備え、避難訓練の実施や備蓄の確保が重要になります。避難訓練については、非常時に園児が泣く、指示通り動かないなどのリスクを想定し、園児と保育士が一緒になって、繰り返し訓練を行うことが大切です。備蓄については、最低3日程度の食料や水を確保するのが良いでしょう。その他、ハザードマップの確認や、不審者対策、自治体からの情報にも注意してください。

運営に関するリスクマネジメント

保育士の確保、育成

保育園を経営する上で、優秀な保育士の確保はとても重要なことです。保育士なくして保育園経営は成り立ちません。専門知識を持つ保育士の採用計画をしっかり立て、採用後の指導や研修、職場環境を整えるなど、働きやすい職場を作ることも大切です。保育士だけでなく、園で働くスタッフ全員の視点に立って勤務形態や保育内容の見直しを行い、無理のない保育をすることが、同時に園児のリスクマネジメントにもつながります。

クレームへの対応

職員の何気ない一言やすれ違いが原因で、保護者からクレームが寄せられるケースがあります。そうした事態に備え、クレームへの対処方法をあらかじめ整えておくと、保護者の不満をスムーズに解決できます。クレームは期間を置くほどに深刻化するため、早期に対応することが肝心です。日頃から、園児の健康状態や家での過ごし方、園についてどう思っているかなど、積極的に保護者と雑談する機会を作りましょう

地域との関わり

保育園を経営する上で、地域との関わりはとても密接です。せっかく保育園の運営を始めても、反対運動が起こると存続の危機に立たされる可能性もゼロではありません。近隣住民から苦情が出るケースに、騒音やマナーの悪さなどがあげられます。地域住民との信頼関係を築くために、その地域のルールに従い、普段から挨拶を徹底する、地域の行事に参加するなど、ふれあいの機会を多く取り入れましょう。行事参加などは、保護者の理解を得た上で行うことを忘れずに。

労務に関するリスクマネジメント

残業(業務量の超過)

現場では過剰な業務量や人手不足、行事のクオリティにこだわりすぎる、効率の悪さなどを理由に業務が勤務時間内に終わらず、保育士にサービス残業が求められるケースが多々あります。保育士の仕事にやりがいを感じてはいても、なるべく残業がないことに越したことはありません。大切な保育士を失う前に業務の見直しを行い、残業を出さない環境を整えましょう。結果的に保育の質を上げることにもつながります。

職員のモチベーション維持

保育士のモチベーションが下がると、勤務態度の悪さや離職が目立つようになります。保育の質が低下し、保育面や経営面でのリスクも高くなるなど、負の連鎖が起こりかねません。保育士のモチベーションを保つ、あるいはモチベーションを上げるために、保育士を励ましたり、褒めたりと日頃から声かけを行うと良いでしょう。モチベーションが高くなれば、幅広い業務に対して前向きに取り組む気持ちを維持しやすくなります。

コンプライアンス(法令遵守)

一度不祥事が起こってしまうと、保育園の信用は大きく下がります。回復は厳しく、保育園を立て直すための対応には、大変な労力を要します。職員の身体的、精神的負担も計り知れません。不祥事を未然に防ぐには、保育士やその他のスタッフがコンプライアンスを守れるよう一人ひとりに徹底し、強化するなどの対策をとる必要があります。

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